症例7 重度歯周病に対する歯周補綴3 13年5ヶ月後

この症例は2004年に雑誌社からの依頼で治療法を投稿しました。今回はこの症例のその後の状態を呈示します。

 

術前

術後

当医院ホームページにも掲載している総合治療症例5のその後です。1999年7月15日初診、40代女性。歯肉から出血するという主訴でした。初診時はかなり歯周病が進行している状態で、歯は動き、口臭もかなりありました。写真を見ると、全体的に歯肉が赤く腫れており、触るとすぐに出血する状態であろうことがお分かりになると思います。

下は、2002年11月19日、治療後1ヶ月の写真です。歯肉はピンク色になり健康を取り戻し口臭も無くなりました。見た目も非常に美しいものとなりました。上下顎とも歯周補綴(支台歯の支持骨の吸収が大きく、動揺度が増加し、クラウンにより連結しなければ、正常な咀嚼機能が営めない状態に対して、歯周環境の整備、安定した咬合、咀嚼機能の回復を図る総合的治療のこと)をおこないました。上下の奥歯には取り外し式の義歯を使用しました。

 

治療前と治療後の左右側方観です。上が治療前、下が治療後です。歯周補綴治療(支台歯の支持骨の吸収が大きく、動揺度が増加し、クラウンにより連結しなければ、正常な咀嚼機能が営めない状態に対して、歯周環境の整備、安定した咬合、咀嚼機能の回復を図る総合的治療のこと)の一環として矯正治療もおこなっています。治療後は咬み合わせも良好となりました。審美性、機能性を考慮した治療がおこなわれました。

 

上は術前のデンタル10枚法、1999年7月15日のレントゲンを示します。全体的に重度歯周病でした。全ての歯を抜いてもしかたないくらいの歯周病の状態でした。

下は2002年10月11日のデンタル10枚法を示します。右上6、左上46、左下456、右下7は抜歯となりました。ホームページにも呈示しましたが、当時認可をうけたばかりのエムドゲイン(歯周病で溶けてしまった顎の骨や歯根膜などの歯周組織を再生させる歯周組織再生療法の一種、豚の歯胚からつくられたタンパク質が歯が生えてくるときと同じような環境を再現し、歯周組織の再生を誘導する、日本国内においては、2002年に厚生労働省の認可をうけている)を全顎的に使用しました。歯槽骨の著しい再生が認められます。

 

ブラッシングやスケーリングなどの歯周基本治療から、歯肉剥離掻爬手術(歯肉を外科的に開いて歯根についている汚れを取る手術)を経て矯正治療をおこないました。矯正治療の目的は、審美歯科のためと、歯肉と歯槽骨の位置を整えることにより、さらに歯周病を安定させるためです。

 

治療前1999年7月15日と治療11年2ヶ月後の2013年12月24日の右下5〜左下3のレントゲンを比較してください。根の中に白く見える棒状のものは、神経の治療で根管につめる材料です。矯正で歯槽骨の位置を整えたり、補綴治療の際の支台歯形成(クラウンを入れるために歯を削ること、海外ではpreparation-準備といわれ、クラウンを入れる準備をすることとされている)をすることで、神経がでたり、神経に近づき神経が炎症をおこすために、神経を取らざるをえませんでした。驚くべきことは、治療前には全ての歯が指で引っ張っただけで抜けそうだった歯が、14年5ヶ月後のレントゲンでは、全く歯が動きそうもないくらい歯槽骨が再生していることです。これが再生療法といわれるものです。様々な条件が整えば、このようなことが現実に起こります。

 

下の前歯の治療を説明します。治療前の右下3〜左下3の写真です。歯肉はかなり赤く腫れ、裏側も歯垢や歯石がこびりついています。

ブラッシング、スケーリング、ルートプレーニング(プラークに含まれる細菌により汚染された歯根の表面を、器具を使って滑らかにすること)など歯周基本治療を徹底的におこないました。

矯正治療により、歯肉と歯槽骨の位置を整えた後に、歯周補綴をおこないました。非常に審美的になりました。セルフメンテナンスも、歯間ブラシやデンタルフロスを使用することなく、歯ブラシだけで簡単におこなえるような治療法を選択しています。先のレントゲンで見た歯槽骨の再生はそのような治療の結果です。

 

審美性、機能性、そしてそれらが長期的に安定するような補綴治療のためには、クラウンフィットが要であり、上のような歯と歯肉の境が明らかにでている、精密な模型が必要となります。

 

2016年4月5日の写真です。治療後13年5ヶ月の状態です。残念ですが、ここまでしかメンテナンスがとれていません。右上1と左上1のマージン(クラウンと歯の境目)がわずかに出ましたが、重度歯周病の治療後13年5ヶ月としては大きな問題ではないと思います。初診時はかなり重度な歯周病でしたが、ここまで歯を一本も失うことなく、また、大した問題もなく経過しました。精度の高い治療の結果だと考えています。

 

この症例は自由診療によるものですが、当医院では保険診療もおこなっております、どうぞお気軽にお声掛けください。尚、全ての症例が同じような結果になるとは限りません。治療前の病状によって術後結果も変わりますので、何か気になる点がありましたらご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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