症例16 審美歯科に必要な歯肉のクリーピングについて

1、2、3、4

1は2005年5月18日初診時の写真、50代女性でした。知人からのご紹介で来院されました。歯周病(歯槽膿漏)で歯がグラグラ動くので、治療をしたいという主訴でした。上顎の前歯はセラミッククラウンが被せてありましたが、歯とクラウンの境目が虫歯になり、ブラックマージン(クラウンと歯肉の間に黒い線が出てしまったり、歯肉が 黒っぽく変色すること)となって、審美性を害していました。

2は2009年12月9日治療後4年4ヶ月の写真です。④③②①1②③④のブリッジで歯周補綴(支台歯の支持骨の吸収が大きく、動揺度が増加し、クラウンにより連結しなければ、正常な咀嚼機能が営めない状態に対して、歯周環境の整備、安定した咬合、咀嚼機能の回復を図る総合的治療のこと)をおこないました。左上1欠損部については、オベイトポンティック(ブリッジの欠損部分を補うための人工歯の基底面形態の一種であり、基底面が卵型(=ovate) を呈するものをさす。これをあらかじめ凹面に形成した顎堤粘膜に密着させることにより、 あたかも天然歯が萌出しているかのような歯頚部形態、および生理的に適度な圧迫による歯間乳頭・鼓形空隙の再生が得られる)により、機能性と審美性を向上させました。

3は治療前のレントゲンです。左上1は手遅れの状態で歯を残すことができませんでした。

4は治療後のレントゲンです。歯槽骨の回復とともに、歯周病(歯槽膿漏)も安定しました。

5、6

5、6、2010年9月13日の下顎前歯の写真です。上の歯の治療に大変満足され、とてもきれいになったので、下の歯もきれいにしたいと言われました。右下1、左下123は、元は、1の写真でお分かりのように、上顎のセラミックの歯が完全に被さり、下の歯は全く見えませんでしたが、咬み合わせでセラミックによって削られていました。(セラミックは歯に比べて非常に固いので、注意して咬み合わせを調整しておかないと、このようなことが起こり得ます)また、歯と歯の間に隙間があり、見た目も悪く、歯ブラシもしにくいと言われていました。機能性と審美性を考えて、右下1、左下1234にセラミッククラウンによる治療をおこないました。下顎の前歯は歯肉と歯槽骨が薄いので、審美歯科をおこなう際には、特に注意が必要です。少しのミスでも歯肉退縮を容易に起こし、ブラックマージンの原因となります。その予防策として、歯肉をクリーピング(歯肉がクラウンに寄り添って這い上がるように移動する現象)させる治療が有効となりますが、非常に繊細な歯肉の取り扱いが要求され、難易度が高い治療となります。下顎前歯の補綴治療(ほてつちりょう・・・歯にクラウンやブリッジや義歯を入れる治療)の結果を見れば、歯科医師の補綴治療技術が分かると言われるほど、テクニックを要求される部位なのです。

7、8、9、10

7、は2010年11月12日、クラウン装着直後の写真です。ブラックマージン(クラウンと歯肉の間に黒い線が出てしまったり、歯肉が 黒っぽく変色すること)を生じることなく、審美的な治療がおこなわれました。もちろん、歯の神経もとっていません。わずかにエンブレージャー(歯間鼓形空隙・・・歯肉付近の歯と歯の間にある空隙。正常な歯肉にはわずかに存在する空隙であるが、あまり大きいと食べかすがつまったり、審美的にも問題となる)があります。

8は2010年11月25日、クラウン装着から13日目の写真です。歯肉がクリーピング(歯肉がクラウンに寄り添って這い上がるように移動する現象)して、エンブレージャーが小さくなったことがお分かり頂けると思います。このクリーピングは、わずか2週間の間に偶然に起こったものではなく、意図的にクリーピングさせたものです。いろいろな事柄を考慮して治療をおこなわなければ、歯肉はクリーピングしませんが、歯肉がクリーピングすれば、ブラックマージンを生じることなく長期的に安定します。下関おおむら歯科の症例のほとんどにブラックマージンや歯肉の炎症が生じていないのは、歯肉を意図的にクリーピングさせているからにほかなりません。

9、10は同じく2010年11月12日、2010年11月25日、歯肉のクリーピング前後の側方からみた写真です。クラウンと歯肉が自然に調和しています。

11

11は、支台歯(しだいし)(歯のない部分にブリッジや入れ歯を入れる際、支えとなる歯のこと)の模型です。フィニッシュライン(支台歯の歯科医師が削った部分と削っていない部分の境界線、ここがクラウンと歯の境目・・・マージンとなる)が明確に再現されています。このような高精度の模型でなければ、クラウンのマージン(クラウンと歯の境目)は適合しません。マージンが適合しなければ歯肉のクリーピングは望めないばかりではなく、歯肉の退縮により、ブラックマージンの原因となります。下関おおむら歯科医院では、患者様に模型を確認していただくことをお勧めしております。また、型を採るトレーもディスポーサブル(使い捨て)を使用していますので、型を差し上げることもできます。

12

12は2017年12月22日、クラウン装着から7年1ヶ月後の写真です。歯肉の位置や形も安定して、ブラックマージンも生じていません。さらに長く安定するものと思われます。

この症例は自由診療によるものですが、当医院では保険診療もおこなっております、どうぞお気軽にお声掛けください。尚、全ての症例が同じような結果になるとは限りません。治療前の病状によって術後結果も変わりますので、何か気になる点がありましたらご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

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