症例22 審美歯科に必要な歯肉のクリーピングについて、その2

1、2

1の写真は、2009年1月26日初診、30代女性です。歯の色が暗いので白くしたいという主訴でした。幼少期(0~12歳)にテトラサイクリン系の抗生物質を服用すると、歯に着色を起こすことがあります。この患者様もテトラサイクリンによる着色でした。着色の改善のために、二十歳の頃、他医院にてコンポジットレジン(樹脂製の歯の修復用素材)を使用したラミネートベニア(歯の表面をわずかに削り、付け爪のように薄いセラミックを貼り付ける方法)がおこなわれましたが、この着色を隠すことができませんでした。このような着色をラミネートベニアで隠すのは非常に困難です。どのようにしても歯の色をきれいにしたいという希望でした。すでに表面の歯質は削ってある状態でしたので、クラウンによる修復をおこなうことにしました。ただ、患者様は治療後にブラックマージン(クラウンと歯肉の間に黒い線が出てしまったり、歯肉が 黒っぽく変色すること)が絶対発生しないようにして欲しいということを、強く要望されました。患者様は補綴治療(ほてつちりょう・・・歯にクラウンやブリッジや義歯を入れる治療)の後にブラックマージンが生じることが多いことをご存知でした。

2は、2011年6月8日、上顎3~3、下顎3~3を装着してから、1年7ヶ月後の写真です。まず上顎3~3、下顎3~3をジルコニアベースのオールセラミッククラウンにより修復しました。ブラックマージンはなく、患者様には非常にきれいな状態に満足していただき、上下左右の小臼歯まで、同様の治療を望まれましたので、オールセラミッククラウンを装着しました。歯肉のスキャロップ(貝殻のような形をした歯肉の高低差)も整い、ブラックトライアングル(歯と歯の間のすきまと歯肉に囲まれた部分に出来る黒くみえる三角形の空隙)もありません。右下6と左下67はインプラントです。

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今回は歯肉のクリーピング(歯肉がクラウンに寄り添って這い上がるように移動する現象)について、右上45を観察したいと思います。

3は、2011年4月19日、右上45の補綴治療(ほてつちりょう・・・歯にクラウンやブリッジや義歯を入れる治療)前の写真です。歯肉に炎症もなく、形もシャープで非常にきれいな歯肉です。これを壊さないように治療しなければなりません。たとえ、いくら歯の色が白くなっても、歯肉が紫色に腫れたり、ブラックマージンが生じるようでは、決してきれいに見えません。

4は、2011年6月8日、右上45にオールセラミッククラウンを装着した直後の写真です。非常に審美的な治療がなされました。ただ、治療前と歯肉の色や形は変わっていませんが、右上45間のエンブレージャー(歯間鼓形空隙・・・歯肉付近の歯と歯の間にある空隙。正常な歯肉にはわずかに存在する空隙であるが、あまり大きいと食べかすがつまったり、審美的にも問題となる)がわずかに開いています。しかし、心配はいりません。すぐに歯肉がクリーピングしてきます。

5は、2013年6月26日、治療終了後2年経過時の写真です。歯肉がクリーピングして、右上45間のエンブレージャーが丁度いいくらいに閉鎖しました。歯肉の形も天然歯のものよりもさらにきれいな形になりました。これはクラウンのエマージェンスプロファイル(歯肉を貫通するところの歯あるいはクラウンの形態)を計算して作った結果です。これが審美歯科治療の醍醐味です。

6は、2018年1月11日、治療終了後6年6ヶ月後の写真です。非常に安定した状態で経過しています。

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7は右上4、8は右上5の模型です。マージン(クラウンと歯の境目)が精密に再現されています。

この症例は自由診療によるものですが、当医院では保険診療もおこなっております、どうぞお気軽にお声掛けください。尚、全ての症例が同じような結果になるとは限りません。治療前の病状によって術後結果も変わりますので、何か気になる点がありましたらご相談ください。

 

 

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