症例24 (23-2) 重度歯周病に対する歯周補綴 9年9ヶ月後 治療工程

1、2

前回の続きです。1、2004年1月6日初診、2は2018年2月23日、初診から14年1ヶ月後、治療後9年9ヶ月経過時の写真です。この症例は、歯周病の基本的な治療、エムドゲイン(歯周病で溶けてしまった顎の骨や歯根膜などの歯周組織を再生させる歯周組織再生療法の一種、豚の歯胚からつくられたタンパク質が歯が生えてくるときと同じような環境を再現し、歯周組織の再生を誘導する、日本国内においては、2002年に厚生労働省の認可をうけている)を用いた歯周病の手術、歯の配置を整えるための矯正をして、補綴治療(ほてつちりょう・・・歯にクラウンやブリッジや義歯を入れる治療)をおこないました。順番に治療経過を報告します。

3、4

初診時から、右下6は歯並びが悪く、前後の歯に対して段差がありました。ブラッシング指導や歯石除去といった歯周基本治療と並行して、矯正的挺出(矯正力を利用して歯根周囲の歯槽骨や歯肉ごと歯冠方向へ引っ張りあげること)をおこないました。3は2004年10月26日、4は2004年11月13日の写真です。約半月で歯の位置が揃いました。

以下にオペ中の写真があります。閲覧される場合にはポップアップ表示をされてください。

5は2005年2月5日、 歯周外科手術(歯周病を改善するために、歯肉を開き、歯肉の中側の根面にこびりついた汚れをきれいに取る手術)をエムドゲインを用いておこないました。

6、7、8、9

6、8は2005年5月14日の写真です。歯並びを整えるために、矯正をしました。7、9は2006年7月29日、矯正が終了した時の写真です。途中患者様の都合で半年ほど中断があり、矯正治療が長引いてしまいました。これで 補綴治療(ほてつちりょう・・・歯にクラウンやブリッジや義歯を入れる治療)ができる環境になりました。

10、11、12

10、11、12は支台歯形成(クラウンを入れるために歯を削ること、海外ではpreparation-準備といわれ、クラウンを入れる準備をすることとされている)が終了した時の写真です。歯周補綴(支台歯の支持骨の吸収が大きく、動揺度が増加し、クラウンにより連結しなければ、正常な咀嚼機能が営めない状態に対して、歯周環境の整備、安定した咬合、咀嚼機能の回復を図る総合的治療のこと)をおこなうためのものですので、全ての歯を平行に削らなければなりません。1本でも平行でなければ連結したクラウンが入らないからです。神経を取る治療は非常に難しく、中でばい菌が感染すれば根の先が炎症を起こしてしまいます。できるだけ神経を取らずにすむように歯の軸をあらかじめ整えることも先におこなった矯正治療の目的のひとつです。この時点で歯肉のスキャロップ(貝殻のような形をした歯肉の高低差)が整っていることにご注目ください。左下67はインプラントをおこないました。見えているのは、インプラントのアバットメント(インプラントにネジでとめる土台)になります。

13、14

13は右下5の模型です。14は右下567の写真です。このような模型を採ることができて初めてブラックマージン(クラウンと歯肉の間に黒い線が出てしまったり、歯肉が 黒っぽく変色すること)が生じないクラウンの治療が可能となるわけです。

15、16

15、16。右下21、左下1はオベイトポンティック(ブリッジの欠損部分を補うための人工歯の基底面形態の一種であり、基底面が卵型(=ovate) を呈するものをさす。これをあらかじめ凹面に形成した顎堤粘膜に密着させることにより、 あたかも天然歯が萌出しているかのような歯頚部形態、および生理的に適度な圧迫による歯間乳頭・鼓形空隙の再生が得られる)としました。15はオベイトポンティックにするために歯肉を整えたところです。16はポンティック(ブリッジにおける欠損部を補うために支台装置(両脇の土台となっている歯)に連結される人工歯)の部分を歯肉に合わせたところの写真です。このようにしてオベイトポンティックは作られます。機能と同時に美しさが要求される審美歯科は、歯科治療の中のひとつのジャンルではありません。基本的治療を正確におこなった結果が、審美歯科治療となることがお分かりいただけると思います。決して簡単な治療ではないのです。

17、18

17は、2011年7月22日、治療後3年2ヶ月経過時の写真です。18は、2018年2月23日、治療後9年9ヶ月経過時の写真です。あたかも歯がはえているように見えます。これがオベイトポンティックであり、審美歯科の醍醐味です。10年近く経過しても歯肉退縮もありません。

 

この症例は自由診療によるものですが、当医院では保険診療もおこなっております、どうぞお気軽にお声掛けください。尚、全ての症例が同じような結果になるとは限りません。治療前の病状によって術後結果も変わりますので、何か気になる点がありましたらご相談ください。

 

 

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