症例29 残根治療を審美的におこなうための総合治療

1、2

1、2002年2月8日初診、40代女性。全体的に芸能人のように綺麗に治療したいという主訴でした。右下321、左下12以外の歯に補綴治療(ほてつちりょう・・・歯にクラウンやブリッジや義歯を入れる治療)が行われていました。

2、治療後の写真です。咬合再構成(こうごうさいこうせい 、クラウン、ブリッジ、インプラント、義歯、矯正治療などを用いて、 現在の咬合を理想的な咬合に構成しなおす総合治療)をおこないました。右上67、左上4567、左下6、右下6はインプラント、右上54321、左上123、左下2345、右下345はオールセラミッククラウン、左下7、右下7はゴールドのクラウンとしています。天然歯のような透明感のある口腔となりました。

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3、治療前のレントゲンを診ると、2次カリエス(一度治療した歯が再び虫歯になること)が多数みうけられました。それらの虫歯は歯肉縁よりも深い位置にありました。これを歯肉縁下カリエスといいます。

4、クラウンをはずした写真です。歯肉縁下カリエスはかなり深いところまで進行している状態でした。これらの歯を保存する場合には、矯正的挺出(矯正力を利用して歯根周囲の歯槽骨や歯肉ごと歯冠方向へ引っ張りあげること)、外科的挺出(通常の治療法では保存が困難な歯を、いったん抜歯し、口腔外で必要な処置を行ってから同じ歯槽窩に挺出させて戻す処置)、歯冠長延長術(歯茎や歯槽骨を削る歯周外科の一種で、歯肉を少し下げて、その下にある虫歯や歯が割れている部分を歯茎の上に出す治療法のこと)などの治療が必要となります。

5、治療後のレントゲンです。全顎的な矯正的挺出と歯冠長延長術の後に咬合再構成をおこないました。

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6、8は2002年2月8日の側方観です。全体的に歯肉が赤く、炎症を起こしています。歯肉の位置も不揃いです。ブラックマージン(クラウンと歯肉の間に黒い線が出てしまったり、歯肉が 黒っぽく変色すること)やブラックトライアングル(歯と歯の間のすきまと歯肉に囲まれた部分に出来る黒くみえる三角形の空隙)も目立ちます。

7、9は2007年6月2日治療終了時の側方観です。咬合再構成により、安定した咬み合わせとなりました。歯肉の炎症もなく、歯肉の位置は整いました。歯肉のスキャロップ(貝殻のような形をした歯肉の高低差)も整い審美歯科治療が達成されました。もちろん、ブラックマージンやブラックトライアングルもありません。

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歯肉の位置や歯肉のスキャロップを整えるために、補綴治療(ほてつちりょう・・・歯にクラウンやブリッジや義歯を入れる治療)に先立ち、矯正をしました。クラウンを被せるだけでは、美しい歯並びにはならない場合があります。

11、12

治療前後の前歯の比較です。右下12、左下1以外の歯にセラミッククラウンによる治療をおこないました。治療後は透明感のある美しい口腔となりました。

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このような治療をおこなう秘訣は、精密に型採りをおこなうことです。これがなければ審美歯科治療は成り立ちません。13は歯肉圧排(歯肉と歯の境目をだすために、その隙間に糸を入れて一時的に歯肉を広げること)をおこなっている写真です。支台歯と歯肉の間に入っている紫色の糸が圧排糸と呼ばれるものです。この糸が支台歯(しだいし 歯のない部分にブリッジや入れ歯を入れる際、支えとなる歯のこと)と歯肉の境目を広げます。圧排して5分くらいそのままにして、その後、圧排糸を取り外してから、印象材を流し込むことになります。

14は歯肉圧排により支台歯と歯肉の境目が明瞭にした後に採った型で作った模型です。歯と歯肉の境目を精密に模型に再現する理由は、マージン(クラウンと歯の境目)のフィットに大きく影響する部分であるからです。もしマージンのフィットが十分でない場合、あるいは、歯肉縁下(歯肉の縁よりも下の部分)の支台歯形成の位置が浅すぎたり、無理な歯肉圧排が原因で歯肉が退縮した場合には、ブラックマージン(クラウンと歯肉の間に黒い線が出てしまったり、歯肉が 黒っぽく変色すること)を生じ審美性に悪影響がでるばかりではなく、2次カリエス(一度治療した歯が再び虫歯になること)の原因となります。その結果、クラウンが口腔内で長期的に安定する可能性が低くなります。

この症例は自由診療によるものですが、当医院では保険診療もおこなっております、どうぞお気軽にお声掛けください。尚、全ての症例が同じような結果になるとは限りません。治療前の病状によって術後結果も変わりますので、何か気になる点がありましたらご相談ください。

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