症例32 磁石を用いた義歯治療(残根の治療)

1、2、3

1、2の写真は、2004年9月1日初診、70代男性。奥様からのご紹介で、全体的に治療をして義歯を作り替えたいという主訴でした。上顎には6本の歯が残っていましたが、そのうちの1本だけにクラウンが被せてあり、他の5本は虫歯のまま放置され、その上から義歯が覆ってある状態でした。下顎は、右下3と左下3は虫歯のまま放置され、右下45と左下4にバネをつけた複雑な設計の義歯で治療されていました。

3は2017年12月14日、治療終了から12年3ヶ月後の写真です。初診時にあった上顎6本、下顎7本の全ての歯を治療して残し、磁石で安定を得る義歯で治療をおこないました。12年3ヶ月の間、1本も歯を失うことなく、義歯も作り変えていません。機能的で審美的な義歯による治療が達成されました。

4、5

4の写真は、2004年9月1日、初診時のレントゲンです。右上75、左上367、右下3、左下3は残根(根だけが残り、歯の頭がなくなってしまっている歯)の状態です。右下5432、左下345の根の先が黒く見えるのは、根の先の組織が炎症を起こしているためです。そのため、根管治療(歯の神経の治療、過去に神経を取った歯の根の再治療)をしなければなりません。他の歯も神経が死んでいる状態であり、根の中を掃除しなければなりません。なお、右下6⑤④、左下④⑤6は両端に歯がない状態でブリッジが装着されていますが、このような設計は支台歯(しだいし)(歯のない部分にブリッジや入れ歯を入れる際、支えとなる歯のこと)にテコによる過重な負担がかかり、あまり好ましくありません。

5の写真は、2005年9月13日、治療後のレントゲンです。根管治療の結果、右下5432、左下345の根の先の炎症像は消失あるいは縮小しました。他の歯も根管治療をおこない、根の中を掃除しました。全ての歯に磁性アタッチメント(入れ歯を固定する小型磁石、小型で強力な吸引力を持つことで、ピッタリ吸着し、着脱簡単な義歯を製作できる維持固定装置)を装着しました。歯根に対する磁石のフィットも非常に良好です。

6、7

6の写真のように、歯の縁が歯肉や歯槽骨に埋まっている状態を残根(根だけが残り、歯の頭がなくなってしまっている歯)と呼びます。これらの残根を残すために、7の写真のように歯周外科(歯の回りの歯肉や歯槽骨に対する手術の総称)をして歯の縁を歯肉の上に出し、補綴治療(ほてつちりょう・・・歯にクラウンやブリッジや義歯を入れる治療)ができるようにしていきます。

8、9、10、11、12、13

8、9の写真は、2004年9月1日初診時のものです。右上75、左上367、右下3、左下3が残根の状態であることが確認できます。これらの歯を何とか保存できるように治療しなければなりません。

10、11の写真は、2005年6月14日全部の歯に磁性アタッチメントを装着した状態です。右上765、左上367、右下5432、左下345に計14本の磁性アタッチメントを装着しました。

12、13の写真は、2017年12月14日、治療後12年6ヶ月の写真です。1本の歯も失うことなく、磁性アタッチメントもそのまま機能しています。

14、15、16、17

14、15、16、17、このような義歯が口に入ります。裏側に見える凹みに磁石が入ります。磁性アタッチメントを用いれば、12、13のように口蓋(口の中の上側の部分)の部分を抜いて義歯を小さくして良好な装着感を得ることができます。また、歯を抜かずに残すことで、顎堤(歯が無くなって歯肉だけになった部分。歯が無くなった部分の顎の骨は時間の経過とともに、少しずつ吸収するので、顎堤は歯が存在していた時に比べて必ず幅が細くなる)が吸収することを防止できます。そのため、義歯の安定が良ければ、磁石を入れる必要がない場合もあります。

この症例は自由診療によるものですが、当医院では保険診療もおこなっております、どうぞお気軽にお声掛けください。尚、全ての症例が同じような結果になるとは限りません。治療前の病状によって術後結果も変わりますので、何か気になる点がありましたらご相談ください。

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