症例33 右下前歯、小臼歯部の審美歯科治療

1、2

1、60代女性の症例です。2012年11月14日から治療を始めました。もともと右下23間にスペースがあり、そのスペースを無くすためにブリッジ(一般に少数歯の欠損に対して用いる補綴物の一種である。主に両側の残存歯、場合によってはデンタルインプラントを支台歯として用い、これとポンティックを連結部で結ぶことによって作られる)が装着されていました。実際の歯列よりも歯の数が1本多いために不自然な形になり、審美性が損なわれていました。

2、2015年1月23日、治療終了から5ヶ月後の写真です。右下12345にセラミッククラウンにより、審美を考慮した補綴治療(ほてつちりょう・・・歯にクラウンやブリッジや義歯を入れる治療)をおこないました。自然な歯並びになりました。セラミッククラウンと歯肉が自然に調和して、ブラックマージン(クラウンと歯肉の間に黒い線が出てしまったり、歯肉が 黒っぽく変色すること)やブラックトライアングル(歯と歯の間のすきまと歯肉に囲まれた部分に出来る黒くみえる三角形の空隙)も生じていません。

3、ブリッジをはずすと、右下3は前回の治療で歯の歯頸部(しけいぶ・・・歯と歯ぐきのさかい目の部分のこと)が削られすぎて、生物学的幅径(歯肉が歯周組織のひとつのパーツとして有する歯と付着する機能)を保つことができていませんでした。そのため、歯頸部の歯肉が炎症を起こし、赤く腫れています。これを治療するには、歯冠長延長術(歯茎や歯槽骨を削る歯周外科の一種で、歯肉を少し下げて、その下にある虫歯や歯が割れている部分を歯茎の上に出す治療法のこと)をおこない、歯の健全な部分を広げることにより、生物学的幅径を保てる幅を作る以外に方法はありません。

4、5

4は2012年12月4日、5は2012年12月17日歯冠長延長術は手術後に、歯肉の位置がわずかに下がり、両隣の歯と比較して、歯が長くなるので、その対応策として、手術前に矯正的挺出(矯正力を利用して歯根周囲の歯槽骨や歯肉ごと歯冠方向へ引っ張りあげること)がおこなわれます。2週間弱で約1ミリ程挺出しました。これで歯冠長延長術をおこなう準備が整いました。

以下にオペ中の写真があります。閲覧される場合にはポップアップ表示をされてください。

6、7

6、7は歯冠長延長術をおこない、歯槽骨整形をおこなう前後の写真です。7の写真を見ると、右下3の歯頸部の歯槽骨の形がきれいに整ったことが分かると思います。このようにして、歯の健全な部分を広げて、歯肉が歯につくスペースを作ることにより、生物学的幅径が確立されるわけです。

8、9

8は歯冠長延長術をおこなってから、約4ヶ月後の写真です。3の写真と比較すると右下3の歯肉の位置が下がり、歯頸部が露出して歯が長くなっているのが分かると思います。同時に歯肉の炎症も無くなりました。ただ、付着歯肉(歯と歯槽骨に付着している部分の硬くて厚い歯茎のこと。頬や唇をひっぱっても動かない可動性のない部分。抵抗力がありブラッシングや細菌などの外部からの刺激に耐えられる。抵抗がなく、可動性がある薄く柔らかい部分の歯茎は歯槽粘膜という)が少ないことが気になります。

9、付着歯肉を広げるために、歯肉弁根尖側移動術(しにくべんこんせんそくいどうじゅつ・・・歯周外科処置のうちの一つ。付着歯肉が狭い場合、または深い歯周ポケットがあり歯肉歯槽粘膜境を超えている場合に付着歯肉の増加およびポケットの除去を目的としておこなわれる)をおこないました。ここまで手を入れることで、審美的な補綴治療(ほてつちりょう・・・歯にクラウンやブリッジや義歯を入れる治療)をおこなう準備が整うわけです。

10、11

10はプロビジョナルレストレーション(仮歯のこと。治療途中で使用される一時的なもので、最終的なクラウンができるまで装着するもの。プロビジョナルレストレーションを装着しながら、見た目や機能、周りの歯や歯茎との関係などを調整し、患者様の要望に合わせて最終的なクラウンの形態の参考する)を装着した時の写真です。プロビジョナルレストレーションを用いて審美性や機能性を確認していきます。

11はプロビジョナルレストレーションをはずした時の写真です。歯肉弁根尖側移動術により、付着歯肉の幅も十分に広がりました。この歯肉のスキャロップ(貝殻のような形をした歯肉の高低差)形態は、エマージェンスプロファイル(歯肉を貫通するところの歯あるいはクラウンの形態)により、歯肉がティッシュリテンション(クラウンが歯肉と接する部分において、歯肉の再生・成長を妨げることなく歯肉の形態を維持すること)を得られた結果、形作られたものです。これにより、ブラックマージン(クラウンと歯肉の間に黒い線が出てしまったり、歯肉が 黒っぽく変色すること)やブラックトライアングル(歯と歯の間のすきまと歯肉に囲まれた部分に出来る黒くみえる三角形の空隙)の発生が予防されることになります。

12、13、14、15

12、13、14、15は、それぞれ右下2345の模型です。支台歯(しだいし・・・歯のない部分にブリッジや入れ歯を入れる際、支えとなる歯のこと)フィニッシュライン(支台歯の歯科医師が削った部分と削っていない部分の境界線、ここがクラウンと歯の境目・・・マージンとなる)と歯肉が明瞭に分けられていることが分かると思います。フィニッシュラインがエマージェンスプロファイルの出発点となりますので、審美歯科治療においてはこれらのような模型が必須となるわけです。もしもフィニッシュラインが明瞭でなければ、マージン(クラウンと歯の境目)が適合せず、ブラックマージンや歯肉が炎症を起こし赤く腫れる原因となります。

この症例は自由診療によるものですが、当医院では保険診療もおこなっております、どうぞお気軽にお声掛けください。尚、全ての症例が同じような結果になるとは限りません。治療前の病状によって術後結果も変わりますので、何か気になる点がありましたらご相談ください。

 

 

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