症例37 重度歯周病を立て直すための審美的歯周補綴

1、2

1、2010年2月15日初診、50代男性。この患者様はご自身が歯周病に罹っていることをご存知でした。歯周病を専門的に治療してほしいということで、私が「歯周病専門医」であるということをインターネットで調べて来院されました。診査の結果、重度の歯周病と診断して、本格的な歯周治療をおこないました。

2は2013年5月1日、治療後4ヶ月の写真です。上顎は右上63、左上2347に磁性アタッチメント(入れ歯を固定する小型磁石、小型で強力な吸引力を持つことで、ピッタリ吸着し、着脱簡単な義歯を製作できる維持固定装置)を用いた義歯により補綴治療(ほてつちりょう・・・歯にクラウンやブリッジや義歯を入れる治療)をおこないました。下顎は、右下456にインプラント、右下321と左下1にセラミッククラウン、左下④5⑥にセラミックブリッジによる補綴治療をおこないました。機能性と審美性を両立した治療をおこないました。

3、4

3は術前のデンタル10枚法、2010年2月15日のレントゲンを示します。それを診ると、全体的に重度歯周病でした。上顎は、右上63、左上2347をかろうじて保存できそうでしたが、ブリッジ等の補綴治療では、力がかかり過ぎて持ちそうにない状態でした。下顎は右下321、左下12346が残っていましたが、再生療法(歯周病で溶けてしまった顎の骨や歯根膜などの歯周組織を再生させる治療)をおこなわなければ良い条件では保存できそうにない状態でした。

4は術後のデンタル10枚法、2012年11月28日のレントゲンを示します。エムドゲイン(歯周病で溶けてしまった顎の骨や歯根膜などの歯周組織を再生させる歯周組織再生療法の一種、豚の歯胚からつくられたタンパク質が歯が生えてくるときと同じような環境を再現し、歯周組織の再生を誘導する、日本国内においては、2002年に厚生労働省の認可をうけている)を用いた本格的な歯周治療の後に、磁性アタッチメント義歯、インプラント、セラミッククラウン・ブリッジによる補綴治療をおこないました。右下3、左下4の歯槽骨に著しい骨の再生が認められます。

5、6、7、8

5、6は術前、術後の右側方観、7、8は術前、術後の左側方観です。歯並びや噛み合わせも良好となりました。

以下にオペ中の写真があります。閲覧される場合にはポップアップ表示をされてください。

9、右下3に対して歯周外科をおこないました。舌側(裏側)にかなり深い垂直性骨欠損(歯の根に沿って垂直的に骨が失われること)が認められました。根の周囲を徹底的に掃除した後に、エムドゲイン(歯周病で溶けてしまった顎の骨や歯根膜などの歯周組織を再生させる歯周組織再生療法の一種、豚の歯胚からつくられたタンパク質が歯が生えてくるときと同じような環境を再現し、歯周組織の再生を誘導する、日本国内においては、2002年に厚生労働省の認可をうけている)による再生療法をおこないました。

10、11、12、13

補綴治療(ほてつちりょう・・・歯にクラウンやブリッジや義歯を入れる治療)に入る前に、二つの理由で矯正をおこないました。ひとつはもちろん審美歯科のためです。もうひとつの理由は、歯周補綴をおこなうために、この症例では全ての歯に支台歯形成(クラウンを入れるために歯を削ること、海外ではpreparation-準備といわれ、クラウンを入れる準備をすることとされている)をおこなわねばなりませんが、歯を連結するためには、支台歯が平行になるように削らなければ、クラウン・ブリッジが装着できないためです。無理やり平行に削ることもできないことはありませんが、そうすると支台歯が細く短くなり、歯質を無駄にするばかりではなく、クラウンが外れやすくなったり、神経に近づきすぎて神経を取らなければならなくなったりするため犠牲が多く、良い方法とはいえません。10、11は矯正治療前後の右側方観、12、13は矯正治療前後の左側方観です。歯並びも歯肉の位置もきれいに整いました。約6ヶ月半で矯正は終わりました。

14、15

14、支台歯形成後に歯肉圧排(歯肉と歯の境目をだすために、その隙間に糸を入れて一時的に歯肉を広げること)をした写真です。元から神経があった歯は全て神経のあるまま支台歯形成(クラウンを入れるために歯を削ること、海外ではpreparation-準備といわれ、クラウンを入れる準備をすることとされている)がおこなえました。クラウンをどれだけきれいに、どれだけ長持ちさせるかは、全てフィットにかかっていると言っても過言ではありません。15はその模型です。この模型を使ってセラミッククラウンの作製をおこないます。補綴治療はクラウンを歯に被せるので、どのようにしても歯とクラウンにギャップが生じます。30ミクロンレベル(髪の毛一本が60ミクロン)でフィットを求めるのであれば、様々な配慮が求められます。まずは、正確な歯肉圧排と精密な印象採得(型を採ること)が重要になります。

16、17

16、右上63、左上2347に金合金を使用した磁性アタッチメントを装着した写真です。フィットを良好にしたために、アタッチメント周囲の歯肉に全く炎症がないことが確認できます。

17、アタッチメントの上に義歯を装着した状態です。磁性アタッチメントを使用したために、顎全体を覆わずに、小さめの義歯でも非常に安定の良い義歯を作ることができます。チタン製の義歯床を使用しているために、義歯自体の強度は高く、かなり耐久性のあるものとなっています。また、上顎を大きく覆わないために、熱い物や冷たい物など温度も敏感に感じることができ、食事を美味しくいただくことができるなど、多くの利点があります。

この症例は自由診療によるものですが、当医院では保険診療もおこなっております、どうぞお気軽にお声掛けください。尚、全ての症例が同じような結果になるとは限りません。治療前の病状によって術後結果も変わりますので、何か気になる点がありましたらご相談ください。

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