症例39 顎堤吸収が高度に進んだ症例のインプラント治療

1、2

1の写真は、70代女性の治療前の左下顎堤の状態です。患者様は部分義歯を装着されていましたが、顎堤(歯が無くなって歯肉だけになった部分。歯が無くなった部分の顎の骨は時間の経過とともに、少しずつ吸収するので、顎堤は歯が存在していた時に比べて必ず幅が細くなる)がかなり吸収していたために、義歯が安定せずに食事も不便な状態でした。インプラントによる治療を希望されましたが、この顎堤の状態ではインプラントを支える骨がありません。このような場合には、GBR(骨誘導再生・・・手術で骨を作ること)をおこなわねばなりません。

2の写真はインプラント治療後の写真です。GBRを大幅におこない、顎堤の増大を図りました。左下456にインプラントを埋入しました。一番奥側にあった親知らずは不要なため抜歯しました。顎堤の吸収もかなり回復して歯肉の位置も整い、機能的で審美的なインプラント治療がおこなわれました。

3、インプラント埋入前のCTの画像です。顎堤が高度に吸収していることが確認できます。そのため、下歯槽神経(かしそうしんけい・・・下顎の骨の内部に分布する神経の一つで、舌神経の後方より奥歯のあごの動脈(下歯槽動脈)に沿って下り、顎の先端の神経(オトガイ神経)につながっている。顎全体の皮膚や下唇の皮膚・粘膜、唇側の歯茎に関係しているため、インプラントを埋め入れる際にはこれを避ける必要がある)が非常に近づいています。また、オトガイ神経(三叉神経第三枝である下顎神経の枝である下歯槽神経の主要な枝である。オトガイや下口唇、下顎前歯部・小臼歯部の頬粘膜の感覚を提供する)の出口であるオトガイ孔も低い位置にあります。インプラント手術の際には、CTで十分診断し、これらの神経に触れないように細心の注意が必要となります。

以下にオペ中の写真があります。閲覧される場合にはポップアップ表示をされてください。

4、インプラント1次オペ(インプラントを植える手術、インプラントを植えたあとは、歯肉を元にもどして、インプラントが骨と接合するのを3~6ヶ月待つ)の写真です。顎堤がかなり吸収していることが分かります。インプラント埋入と同時にGBR(骨誘導再生・・・手術で骨を作ること)が必要となります。

5、GBR(骨誘導再生・・・手術で骨を作ること)後、骨の再生を待ち、インプラント2次オペ(インプラントに土台を立てて粘膜から貫通させる手術)をおこない、アバットメント(インプラントにネジでとめる土台)を装着しました。アバットメントはネジでインプラント体に固定されます。

6、上顎は歯の状態と配置から、磁性アタッチメント(入れ歯を固定する小型磁石、小型で強力な吸引力を持つことで、ピッタリ吸着し、着脱簡単な義歯を製作できる維持固定装置)を用いた義歯としました。

7、8、9、10

7、8の写真は、治療前後の前方観です。9、10は治療前後の側方観です。歯の位置や配列が非常にきれいに整いました。GBRにより、顎堤の吸収はほとんど目立たなくなりました。審美的で機能的な口腔が構築されました。

 

この症例は自由診療によるものですが、当医院では保険診療もおこなっております、どうぞお気軽にお声掛けください。尚、全ての症例が同じような結果になるとは限りません。治療前の病状によって術後結果も変わりますので、何か気になる点がありましたらご相談ください。

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