症例35 歯周病で抜歯した前歯の審美インプラント治療

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1、ある日突然、市内のとある歯科医師から、「ご自身の前歯のインプラントの治療をしてほしい」と電話をいただきました。50代の男性歯科医師でした。ご来院いただき、診断したところ、右上1が重度の歯周病にかかっており、残すことができない状態でした。左上1は過去に他医院にてインプラントをしたということでした。写真でもお分りいただけますが、右上1は歯肉の位置が他の前歯と比較して、上の方に上がってしまっており、段差ができています。また、この歯の周囲の歯槽骨は歯周病で無くなっており、抜歯をすると歯肉の位置はさらに上方に上がることが予測されました。さらに、連続したインプラントは、歯間乳頭(歯と歯の間に位置する歯肉でピラミッド状をしている。歯間乳頭が無くなるとブラックトライアングルといわれる黒く見える空隙ができ、食片がつまったり、会話中に空気がもれたりするとともに、審美性に大きく影響することになる)が喪失しやすく、インプラントとインプラントの間に大きなブラックトライアングル(歯と歯の間のすきまと歯肉に囲まれた部分に出来る黒くみえる三角形の空隙)が生じる可能性があるので、注意が必要です。とにかく、前歯の審美的インプラントは、非常に難しい治療です。

2、右上1の抜歯直後にソケットプリザベーション(骨の吸収を防止するために、抜歯の時点で人工骨などを抜歯窩に入れて骨を再生させる方法)をおこない、歯槽骨の吸収を予防してインプラントをしました。1の写真の治療前よりも歯肉の位置はインプラントに寄り添うように下の方に下がりました。エンブレージャー(歯間鼓形空隙・・・歯肉付近の歯と歯の間にある空隙。正常な歯肉にはわずかに存在する空隙であるが、あまり大きいと食べかすがつまったり、審美的にも問題となる)も治療前より小さくなっています。1の写真では右下1と左下1の間が開いていますが、2の写真では閉じているのが分かると思います。これは歯周病の治療をおこなったために、歯が元の位置に戻ってきたためです。歯周治療の後にこのようなことがおこることがあります。矯正をおこなったわけではありません。

3、右上1の抜歯から約4ヶ月治癒を待ちました。写真はインプラント1次オペ(インプラントを植える手術、インプラントを植えたあとは、歯肉を元にもどして、インプラントが骨と接合するのを3~6ヶ月待つ)直前の状態です。ソケットプリザベーションをおこなったために、歯槽骨の吸収をある程度抑えることができました。しかしながら、なるべく歯肉が退縮しないように、インプラントを埋入しなければなりません。

4、インプラントを埋入した状態です。

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5、6、インプラントの型を採り、アバットメント(インプラントにネジでとめる土台)とセラミッククラウンを作製しました。アバットメントはチタン製のものを使用しています。メーカーの提供するチタン製のアバットメントが、インプラント体に対する適合、生体親和性そして強度を含めて最良の物だと考えています。金属製のアバットメントを使用しても歯肉が黒くなるわけではありません。

7、2018年2月14日、治療終了後1年7ヶ月の写真です。大きな変化もなく、良好に経過しています。ご当人の先生も大変満足されています。

 

この症例は自由診療によるものですが、当医院では保険診療もおこなっております、どうぞお気軽にお声掛けください。尚、全ての症例が同じような結果になるとは限りません。治療前の病状によって術後結果も変わりますので、何か気になる点がありましたらご相談ください。

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