症例54 難易度の高い「すれ違い咬合」の義歯治療

1、2、3、4、

1、2、2018年4月6日初診、70代女性。入れ歯が動いて痛くて噛めない。インプラントをしてほしいという主訴で来院されました。入れ歯を入れた状態では、出歯になっており見た目が損なわれていました。下顎は前歯5本だけが残っていましたが、臼歯(奥歯)部の顎堤(歯が無くなって歯肉だけになった部分。歯が無くなった部分の顎の骨は時間の経過とともに、少しずつ吸収するので、顎堤は歯が存在していた時に比べて必ず幅が細くなる)の吸収が著しく、前歯部と臼歯部に急な段差ができていました。このような口腔の状態では、残存歯にいくらバネをかけても、入れ歯の動きを止めることはできません。しかしながら、下顎は下歯槽神経(かしそうしんけい・・・下顎の骨の内部に分布する神経の一つで、舌神経の後方より奥歯のあごの動脈(下歯槽動脈)に沿って下り、顎の先端の神経(オトガイ神経)につながっている。顎全体の皮膚や下唇の皮膚・粘膜、唇側の歯茎に関係しているため、インプラントを埋め入れる際にはこれを避ける必要がある)までの距離がなく、臼歯部にインプラントをできる状態ではありませんでした。

3、4、治療後の状態です。上下顎の残存歯のバランスが悪く、下顎臼歯にインプラントもできないために、設計に苦慮しました。右上7654と左上567は歯周病もなく動揺が無かったので高さのある磁石用のアタッチメントを装着して、上の入れ歯ができるだけ動かないようにしました。下顎前歯部には4本のインプラントを埋入して、ロケーター(インプラントオーバーデンチャーの維持装置のひとつ。固定源がしっかりと確保されるため義歯が安定し、患者が義歯を取り外しできて清掃性がよく、メールを交換することで維持力を変更できる)による義歯により下顎義歯の動きを規制しました。よく噛めるようになった上に、見た目も非常に良好になりました。

5、6、

5、6、左右下顎臼歯部のCTです。黄色い管状に示されたものが下歯槽神経です。粘膜の真下に神経があることが分かります。これではインプラントをおこなうことは無理です。義歯での対応を考えなければなりませんが、このような顎堤では義歯の安定も儘なりません。設計を熟考して精密な義歯作製の手順を踏まねば、患者様の満足する義歯はできません。

7、8、9、10、

7、8、治療前の上顎と下顎です。上顎は前歯が無く、下顎は奥歯ありません。こういうパターンは「すれ違い咬合」と呼ばれ、義歯の安定が損なわれやすく非常に難しい咬み合わせです。咬むたびに義歯のバランスがくずれて、義歯が動きます。クラスプ(残っている歯に金属でできたバネをひっかけて義歯を固定、安定させるための装置)を維持装置(いじそうち)(義歯が動いたり外れたりしないように支える装置のこと。クラスプ、アタッチメントなどがある)とする義歯では安定させることが難しい状態です。

9、10、上顎はテレスコープ義歯(歯に金属の「内冠」を被せ、そこへさらに義歯を被せるという治療法)タイプの磁石アッタチメントを維持装置として義歯の3次元的な動きを規制しました。下顎には4本のインプラントを埋入してロケーターを装着して義歯の動きをコントロールしました。

11、12、13、14、

11、12、治療前後の顔貌の比較です。治療前は咬み合わせの高さが低くて、上唇も張りがなく、かなり老けて見えます。治療後は顔面高も増して唇にも張りが出て若返りました。

13、14、治療前後の微笑時の変化です。治療前は上の前歯がほとんど見えず、金属製のクラスプも見えて審美的ではありません。治療後は上の前歯も見えるようになり、健康的になりました。

治療費の総額は¥4,075,000(治療当時の金額、消費税別)、治療に関してのリスク・副作用として、歯肉退縮が生じる可能性があります。

この症例は自由診療によるものですが、当医院では保険診療もおこなっております、どうぞお気軽にお声掛けください。尚、全ての症例が同じような結果になるとは限りません。治療前の病状によって術後結果も変わりますので、何か気になる点がありましたらご相談ください。

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