症例28 審美歯科に必要なセラミッククラウン治療後の歯肉クリーピング、スティップリングの出現について

1、2

1は初診時の写真です。2013年2月5日初診、30代女性です。右上1の歯の変色をセラミックスを被せてきれいにしたい、という主訴で来院されました。右上1は昔、神経をとったということで、茶色く変色していました。

2は、右上1にセラミッククラウンを被せて1ヶ月後の写真です。どの歯をかぶせているのか、分からないと思います。エンブレージャー(歯間鼓形空隙・・・歯肉付近の歯と歯の間にある空隙。正常な歯肉にはわずかに存在する空隙であるが、あまり大きいと食べかすがつまったり、審美的にも問題となる)もちょうど良いくらいに閉じています。治療前にも増して、スティップリング(健康な歯肉に認められるもので、歯肉と歯槽骨をつなぐコラーゲン線維が上皮を引っ張り上げるために生じるもの。 健康な肌に張りがあるように、歯肉線維の元気な歯肉には、スティップリングが認められるようになる)が認められます。歯肉に炎症が生じると、スティップリングは消えます。スティップリングが認められることは、セラミッククラウンが歯肉に調和していることの証なのです。

3、4、5

3は2013年3月22日、右上1にセラミッククラウンを仮留めした時の写真です。歯肉がわずかに赤くなって炎症を起こしています。これはそれまで入れていた仮歯による影響であり、心配いりません。エンブレージヤーも開いていますが、すぐに閉じるような治療をしています。

4は2013年3月26日の写真です。歯肉の赤みもほとんど消えました。

5は3、4のスティップリングの説明です。初診時にあったスティップリングが無くなっているのが分かると思います。このように補綴治療(ほてつちりょう・・・歯にクラウンやブリッジや義歯を入れる治療)のための歯肉圧排(歯肉と歯の境目をだすために、その隙間に糸を入れて一時的に歯肉を広げること)により歯肉が炎症を起こし、一時的にスティップリングが消えてしまうことが多いのですが、きちんと治療が為されれば、2の写真のように、再びすぐにスティップリングが現れます。

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6、このような審美歯科治療をおこなう際には、フィニッシュライン(支台歯の歯科医師が削った部分と削っていない部分の境界線、ここがクラウンと歯の境目・・・マージンとなる)が明確に再現された型を取ることが何よりも重要です。これがなければ、審美歯科は成り立ちません。同時に、7のようなガム模型と呼ばれる、歯肉の形が再現された模型を作ります。この模型を使って、エマージェンスプロファイル(歯肉を貫通するところの歯あるいはクラウンの形態)を形作り、エンブレージヤーを含めた歯肉の形態のコントロールがおこなわれます。これらのことを理解している歯科医師と歯科技工士が治療すれば、歯肉の形と性状を思い通りに誘導することができるわけです。

 

この症例は自由診療によるものですが、当医院では保険診療もおこなっております、どうぞお気軽にお声掛けください。尚、全ての症例が同じような結果になるとは限りません。治療前の病状によって術後結果も変わりますので、何か気になる点がありましたらご相談ください。

 

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