1、2
1は初診時の写真です。2007年3月19日初診、30代女性です。インプラントを使って、全顎的な審美歯科治療をしたいことを主訴に来院されました。上顎11はレジン樹脂(プラスチック)でできたクラウンで補綴治療(ほてつちりょう・・・歯にクラウンやブリッジや義歯を入れる治療)がおこなわれていました。右上64、左上467、左下567、右下567は欠損でした。
2は、2012年3月9日、治療後1年4ヶ月後の写真です。右上⑦6⑤4③②セラミックブリッジ、右上1はセラミッククラウン、左上123セラミッククラウン、左上456インプラント、左下56インプラント、右下56インプラントにより補綴治療をおこないました。総合治療(虫歯や歯周病が原因で歯を失ったり、咬み合わせが大きく崩れたりした際には、単に虫歯の治療や歯周病の治療だけではお口の審美や機能を回復できないことがあります。そのような場合には、一口腔単位の治療を行うことで、見た目も、咬み合わせも良好で、歯を長持ちさせることが可能となります。その目的ためにおこなわれる、歯周治療、矯正、インプラント、義歯、クラウンなど歯科のあらゆる分野の治療を駆使した治療のこと)を駆使した結果、とても美しい口腔になりました。自然観のあるクラウンと歯肉との調和にご注目ください。
3、4、5、6
3、5は2007年3月19日初診時の側方観です。前歯が出歯になっているのは、奥歯に噛み合わせが無いために全ての力が前歯にかかり、前歯には噛み合わせを支える力がないために前方に倒れるためです。これをフレアーアウト(前歯が移動して出っ歯になったり、すきっ歯になったりしてくること)といいます。また、右上2と右下2の噛み合わせが前後逆になっています。このことを前歯部交叉咬合(前歯部における前後方向の咬合関係の異常)といいます。
4、6は2010年10月22日治療終了時の側方観です。右上⑦6⑤4③②セラミックブリッジ、右上1はセラミッククラウン、左上123セラミッククラウン、左上456インプラント、左下56インプラント、右下56インプラントにより補綴治療をおこなったことにより、奥歯の噛み合わせも整いました。下顎は矯正をしたために、前歯部交叉咬合も改善しています。奥歯でしっかり噛めるように噛み合わせを作りましたので、上顎11のフレアーアウトも解消しました。歯肉のスキャロップ(貝殻のような形をした歯肉の高低差)も整い、 ブラックマージン(クラウンと歯肉の間に黒い線が出てしまったり、歯肉が 黒っぽく変色すること)もありません。
7、8
7は2008年5月28日、下顎の矯正治療を開始した日の写真です。歯の位置が乱れて噛み合わせが上手く揃っていません。
8は2009年1月21日、矯正を始めて、約8ヶ月後、ほぼ矯正が終わった頃の写真です。歯並びがきれいに揃いました。これで上顎との噛み合わせも整います。
9、10、11
9は2007年3月19日初診時の前歯です。
10は2010年12月9日治療終了約1ヶ月後の写真です。上顎11間のエンブレージャー(歯間鼓形空隙・・・歯肉付近の歯と歯の間にある空隙。正常な歯肉にはわずかに存在する空隙であるが、あまり大きいと食べかすがつまったり、審美的にも問題となる)が空いているのがお分かりいただけると思います。治療中には、矯正やエマージェンスプロファイル(歯肉を貫通するところの歯あるいはクラウンの形態)を調整して、上顎11間のエンブレージャーをもう少し狭めようとしましたが、元々歯周病であったので、これ以上ふさぐことはできませんでした。後は、歯肉がクリーピング(歯肉がクラウンに寄り添って這い上がるように移動する現象)するような術式で補綴治療(ほてつちりょう・・・歯にクラウンやブリッジや義歯を入れる治療)をおこない、クリーピングを誘導することにしました。
11は2012年3月9日治療後1年4ヶ月後の写真です。上顎11間の歯肉がクリーピングして、エンブレージャーが小さくなっています。歯肉のスキャロップ(貝殻のような形をした歯肉の高低差)全体がクリーピングしていることにご注目ください。これで長期的にマージン(クラウンと歯の境目)が露出しないものと思われます。
この症例は自由診療によるものですが、当医院では保険診療もおこなっております、どうぞお気軽にお声掛けください。尚、全ての症例が同じような結果になるとは限りません。治療前の病状によって術後結果も変わりますので、何か気になる点がありましたらご相談ください。