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1、50代の女性です。
右下4にセラミッククラウン、右下56にインプラントによる補綴治療(ほてつちりょう・・・歯にクラウンやブリッジや義歯を入れる治療)をおこなう前の写真です。周囲には十分な付着歯肉(歯と歯槽骨に付着している部分の硬くて厚い歯茎のこと。頬や唇をひっぱっても動かない可動性のない部分。抵抗力がありブラッシングや細菌などの外部からの刺激に耐えられる。抵抗がなく、可動性がある薄く柔らかい部分の歯茎は歯槽粘膜という)がありません。このままでは、治療後にブラッシングがしにくいものと思われます
2、治療後の写真です。
右下4にセラミッククラウン、右下56にインプラントによる補綴治療をおこないました。右下456のクラウンの周囲に付着歯肉があるのがお分かりいただけると思います。これらは、インプラント2次オペ(インプラントに土台を立てて粘膜から貫通させる手術)の際に、有茎弁移動術(粘膜弁を切り離さずに周囲の歯肉を移植する手術)を用いて付着歯肉を獲得した結果です。右下4周囲の歯肉の形態はインプラント手術で退縮することもなく、治療前と変っていません。さらに、インプラント周囲の歯肉もスキャロップ(貝殻のような形をした歯肉の高低差)を呈し、審美歯科治療が達成されました。
以下にオペ中の写真があります。閲覧される場合にはポップアップ表示をされてください。
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3、インプラント1次オペ(インプラントを植える手術、インプラントを植えたあとは、歯肉を元にもどして、インプラントが骨と接合するのを3~6ヶ月待つ)の写真です。
適正な位置と方向に埋入することが重要です。
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4、インプラント1次オペから3ヶ月後、インプラント2次オペ(インプラントに土台を立てて粘膜から貫通させる手術)をする直前の写真です。
1の治療前の写真と比較して、右下4の歯肉の位置や形態が何も変化していないことにご注目ください。インプラント1次オペの後に歯肉に大きな陥没や傷跡が残れば、審美的な結果は望めません。
5、インプラント2次オペ直後の写真です。
インプラントに土台を立てるとともに、周囲に十分で審美的な付着歯肉を獲得するために、歯肉弁根尖側移動術(しにくべんこんせんそくいどうじゅつ・・・歯周外科処置のうちの一つ。付着歯肉が狭い場合、または深い歯周ポケットがあり歯肉歯槽粘膜境を超えている場合に、付着歯肉を根の方向に移動することにより、付着歯肉の増加およびポケットの除去を目的としておこなわれる)をおこないました。同時に右下4は、歯間乳頭(歯と歯の間に位置する歯肉でピラミッド状をしている。歯間乳頭が無くなるとブラックトライアングルといわれる黒く見える空隙ができ、食片がつまったり、会話中に空気がもれたりするとともに、審美性に大きく影響することになる)部の歯肉を、有茎弁移動術(粘膜弁を切り離さずに周囲の歯肉を移植する手術)にて動かし、付着歯肉を作りました。
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6、2018年7月25日、治療終了から2年1ヶ月後の写真です。
右下456とも付着歯肉は維持され、機能的で審美的な状態が保たれています。